用語集

あ行

慰謝料

慰謝料とは、一般的には、受けた精神的苦痛に対する損害賠償金のことを言います。不貞慰謝料(不倫慰謝料)の場合は、配偶者が自分以外の相手(不貞相手)と肉体関係をもったことにより精神的に傷ついたことについて、配偶者と不貞相手に対して請求することができます。

違法収集証拠

不貞慰謝料を請求するためには、不貞行為があったことを立証する証拠が重要になってきます。証拠がないと、配偶者や不貞相手が自ら認めないかぎり、不貞慰謝料を請求しても最終的に慰謝料を獲得することができません。そこで、請求者としては不貞行為があったことを裏付ける証拠を集めるために手を尽くすことになります。

ですが、証拠の収集の仕方に問題(違法性)があると、場合によっては裁判で違法収集証拠として証拠能力(裁判において事実認定のために用いることができる資格)が否定されてしまうこともありえます。どんな方法を用いて集めた証拠でもよい、というわけではありませんので、証拠集めは慎重に行いましょう。

か行

期限の利益喪失条項

不貞慰謝料を分割で支払うという内容で示談する場合、示談書(和解書)に期限の利益喪失条項を設けるのが通常です。「期限の利益」とは、支払い等の期限が定められていることによって債務者が受ける利益を言います。たとえば、100万円を3カ月後に支払うという約束であれば、債務者はその期限が到来するまで100万円を支払う義務はないので、その間支払いをしなくてよいという利益を得ていることになります。

期限の利益喪失条項とは、債務者に期限の利益がある場合に、一定の事由が生じると、その期限の利益を失うという内容を定めておく条項です。期限の利益喪失条項の具体例としては、「第〇条 乙は甲に対し、平成〇〇年〇月から同年〇月まで毎月末日限り〇万円ずつ下記口座に振り込み送金する方法により支払う。」「第〇条 乙が前条の分割金の支払いを怠り、その額が○○円に達したときは、当然に同条の期限の利益を失う。」といったものになります。この場合、期限の利益を喪失すると、その時点の残債務全額を直ちに支払わなければならなくなります。

求償権

求償権とは、一般的には、他人のために債務を弁済した場合に、その他人に対して、支出した金額の全部または一部の支払いを請求できる権利のことを言います。不倫における求償権とは、不貞行為をした当事者の一方が、自身の責任割合を超えて不貞慰謝料を支払った場合に、他方当事者に対し自己の責任割合を超えた分につき請求できる権利です。不貞行為は当事者双方の共同不法行為であり、不貞慰謝料を支払う責任は当事者双方にあるからです。

そのため、たとえば、AさんとBさんが不倫をして、BさんがAさんの妻であるCさんから不貞慰謝料を請求され200万円を支払った場合には、BさんはAさんに対しAさんの負担すべき金額(たとえば100万円)を請求することができます。

口外禁止条項

示談書(和解書)を取り交わす際に、口外禁止条項と呼ばれる条項を設けることがあります。口外禁止条項とは、不倫の事実や慰謝料の支払があったこと等を第三者に知られないようにするために設けるものです。

不倫問題が第三者に知られることにより、新たなトラブルが発生することを防止するのが目的です。口外禁止条項の具体例としては、たとえば、「甲及び乙は、本件及び本和解の内容を、みだりに第三者に口外しないことを相互に約束する。」といったものが考えられます。

公正証書

不倫の示談をする際に、示談書(和解書)を公正証書で作成することがあります。公正証書とは、公証人が法令に従って作成する文書(公文書)です。公証人は、元裁判官や元検察官等、法律実務の経験が豊富な人の中から、法務大臣が任命しています。公正証書は、公文書ですから証拠としての価値が高く、強制執行認諾文言を入れることで執行力をもたせることができます(裁判をして判決を取らなくても、すぐに財産の差押え等ができるということです。)。

そのため、示談書を公正証書で作成しておけば、示談後にもし不貞慰謝料の支払がされなかった場合に、相手の預金や給与等を差し押さえることも可能になります。他方で、公正証書の作成には、公証役場に出向く必要がある、費用がかかる、作成に時間がかかるといったデメリットもありますので、すべてのケースで示談書が公正証書で作成されるわけではありません。不倫の示談書を公正証書で作成するかどうかはケースバイケースとなります。

さ行

時効(消滅時効)

時効(消滅時効)とは、権利を行使できるのに一定期間権利を行使しなかった場合に、その権利を消滅させる制度です。不貞慰謝料の請求は、不貞行為という不法行為により被った精神的損害の賠償を求めるものですので、民法724条により、被害者が不貞の事実及び不貞行為の相手方を知ってから3年を経過すると消滅時効にかかり、請求が認められなくなります。

なお、消滅時効の効果を得るためには、請求を受けた者が消滅時効を援用する(消滅時効が完成したことを主張すること)必要があります

示談書(和解書)

不貞慰謝料を請求して相手方と話し合いがまとまった場合には、示談書を作成するのが通常です。和解書や合意書というタイトルで作成することもあります。示談書には、話し合いで決まった内容を記載します。

口約束でも示談は成立しますが、口約束ですと、内容が曖昧になりがちで、後で「言った」「言わない」のトラブルになる可能性がありますし、場合によっては、「不貞慰謝料を払う」と言っていたのに「やっぱり払わない」等と言われてきちんと支払いがされない可能性もあります。そのようなことを防ぎ、不倫問題をきちんと解決するためには、示談書の作成は欠かせません。

除斥期間

不貞行為が行われてから20年が経過すると、被害者が不貞行為及び不貞相手を知ってから3年が経過していなくても(つまり、消滅時効が完成していなくても)、不貞慰謝料を請求できなくなってしまいます。これを除斥期間と言います。除斥期間は消滅時効と似ていますが、消滅時効と異なり中断することはなく、また、「援用」の必要もありません。つまり、その期間の経過により、権利が当然に消滅することになります。

 

清算条項

示談書(和解書)を作成する際には、清算条項を設けるのが通常です。清算条項は、示談をした当事者間においては、示談書に記載された慰謝料等の他には、一切債権債務がないということを明らかにするために設けます。つまり、当事者間における紛争が終局的に解決したことを確認し、将来における紛争の蒸し返しを防止するための条項です。清算条項の具体例としては、たとえば、「甲と乙は、本件に関し、本合意書に定めるもののほか、何らの債権債務のないことを相互に確認する。」といったものがあります。

 

接触禁止条項(接近禁止条項)

示談書(和解書)に接触禁止条項とか接近禁止条項と呼ばれる条項を設けることがあります。これは、不貞をした配偶者と不貞相手との関係を絶たせる目的で入れるものです。接触禁止条項・接近禁止条項の具体例としては、たとえば「乙は、甲に対し、今後丙との交際をやめ、合理的理由なく丙に連絡しないことを約束する。」といったものが考えられます。なお、約束に違反した場合のペナルティ(違約金の支払い等)をあわせて設ける場合もあります。

た行

ダブル不倫

ダブル不倫とは、既婚者同士での不倫です。つまり、妻のいる男性と夫のいる女性が不倫をすることです。たとえば、A(夫)とB(妻)、C(夫)とD(妻)という夫婦がいて、BとCが不倫した場合、ダブル不倫となります。この場合、AはBとCに対して、DはBとCに対して、それぞれ不貞慰謝料を請求することができます。ただし、ダブル不倫の場合は、場合によっては慰謝料を請求してもメリットがないことがありますので、請求は慎重に検討する必要があります。たとえば、上の例で、AB夫婦が別れないままAがCに

不貞慰謝料を請求した場合に、DからBにも同様の請求されてしまうと、AB夫婦の財布は一緒と考えれば、結局プラマイゼロになってしまう可能性があるということです。

な行

内容証明郵便

内容証明郵便とは、「誰が」「誰に」「いつ」「どんな内容の郵便を出したのか」を郵便局が証明してくれる特別な郵便です。普通郵便では、どんな内容の郵便を出したのかまでは証明できませんので、相手方から「そんな内容の郵便は受け取っていない」と言われてしまう可能性があります。

ですが、配達証明付の内容証明郵便で出しておけば、そのような主張がされることを防ぐことができます。ただし、内容証明郵便は、書かれた内容が正しいかどうかを証明するものではありません。

は行

配達証明

配達証明とは、「いつ」「郵便を出した相手にその郵便が届いたのか」を郵便局が証明してくれるものです。内容証明郵便だけでは、送った郵便が相手に届いたことの証明まではできません。そこで、相手から受け取ったことを争われるのを防ぐために、内容証明郵便を出す場合には、配達証明を付けるのが一般的です。

破綻の抗弁

配偶者や不貞相手に不貞慰謝料を請求したところ、「夫婦関係はすでに破綻していたので、不貞慰謝料を支払う義務はない」という反論がされることがあります。

不貞行為があった時点ですでに夫婦関係が破綻している場合は、配偶者に不貞行為をされても精神的苦痛を受けないので、保護すべき法益がないとして、慰謝料の支払義務が認められません。そのため、請求された側からこのような主張がされることがあるのです。こうした反論を「破綻の抗弁」と言います。

不貞行為

不貞行為とは、配偶者のある者が、自由な意思に基づいて、配偶者以外の異性と性的関係をもつことを言います。夫婦(内縁の夫婦も含みます。)には、お互いを唯一のパートナーとする貞操義務があり、不貞行為は貞操義務違反として民法770条1項1号で規定された法定離婚事由の一つとされています。

性的関係をもったことが要件となりますので、キスやハグ程度では不貞行為と認定されるには不十分で、原則として肉体関係(性交渉)があったかどうかが基準となります。

不真正連帯債務

不貞行為は、不貞をした当事者2人の共同不法行為となります。共同不法行為が成立する場合、加害者が被害者に対して負う損害賠償責任は「不真正連帯債務」となります。そのため、各債務者(加害者)は、債務全額につき支払い義務を負います。

つまり、不貞行為をされた被害者は、不貞行為をした配偶者と不貞相手の双方に対し、不貞慰謝料を全額支払うよう請求できることになります。ただし、不貞行為をした配偶者から全額支払いを受け、不貞相手からも全額支払いを受けるというような、二重取りが認められるわけではありません。

本人限定受取郵便

本人限定受取郵便とは,郵便物等に記載された名宛人または差出人が指定した代人一人に限り郵便物を受け取ることができるという,日本郵便の郵便サービスです。基本型,特例型,特定事項伝達型の3タイプがあります。受け取りの際には,本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)が必要となります。

ま行

免責証書(めんせきしょうしょ)

保険会社と示談がまとまった際に、その合意内容を記載した和解書です。

や行

有責配偶者

婚姻関係の破綻,つまり離婚の原因を作った配偶者を「有責配偶者」と言います。不貞行為は法律上の離婚原因ですから,不貞行為をした配偶者は有責配偶者となります。有責配偶者からの離婚請求は,原則として認められません。

ら行

 

わ行

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