不倫案件についての探偵・興信所と弁護士の役割の違い

不倫という検索ワードで検索すると、多くの探偵事務所、興信所、不倫慰謝料や離婚問題に詳しいことを標榜する弁護士事務所などがヒットします。
ただ、探偵と弁護士、どちらに何を頼めば良いのか分からない、違いが分からないという方も少なくないのではないでしょうか?
そこでこの記事では、探偵・興信所と弁護士の役割の違いと、それぞれへの依頼内容やタイミング、事前に準備しておくべきことなどについて説明します。
目次
1.探偵、興信所の役割は「証拠集め」
相手の態度がなんとなく疑わしいけれど、不倫をしているという確たる証拠がない場合、証拠集めに役に立つのが探偵や興信所です。
なぜ証拠が必要かというと、法律上不法行為となる不倫(不貞行為)とは、既婚者が別の異性と肉体関係をもっているという必要があるからです。単純に好意を寄せあっているとか、デートをしているとかだけでは、不貞行為=不倫とまでは断定できません。
肉体関係をもっているかどうかを証明することは、本人以外には非常に難しくスキルが必要になります。これは通常密室で隠れて行われるものですので、たまたま帰ってきたら配偶者が不貞行為をしているところに出くわした、というようなレアなケースを除き、目撃することが難しいからです。
探偵や興信所は、浮気をしていると思われる配偶者を尾行したりして、不倫相手とデートの現場や、それからどこに向かうかの道筋を辿るプロです。顔が尾行対象者にばれないように細心の注意を払うため、多くの人は尾行されていることなどまったく気づかないと言われています。
2.弁護士の役割は「交渉」
探偵や興信所に頼んで、不貞行為の証拠をつかみ、不倫相手に慰謝料請求などの示談交渉をする場合に、弁護士に依頼します。
不倫の場合は、まず浮気をされた配偶者と不倫相手や有責配偶者が解決のために話し合い(示談交渉)をします。示談交渉がうまくいかなければ夫婦関係調停を家庭裁判所で行い、それでも解決しなかった場合、裁判での解決となります。
不倫は男女関係のもつれですので、誰もが感情的になりやすいテーマです。お互いが理性的に話し合えないと余計に問題がこじれ、解決が遠のきます。
極力スムーズに問題解決を図るために、示談交渉から訴訟まで、その分野に詳しい弁護士に依頼することをおすすめします。
3.いつ頼むか、事前準備は?
役割が明確になったところで、次に気になるのは「それぞれの専門家にどの段階で頼めば良いのか(スムーズなのか)」「何を頼めば良いのか」ということです。
(1) 探偵や興信所に頼む前の準備
探偵や興信所は、多くの場合、依頼費用が非常に高額です。
安くても数十万から100万円、高いと400万円くらいかかることもあるようです。
なぜこんなに高額かというと、多くの事務所は複数人の探偵をはりつけて、多くの時間をさき、リスクをおかして証拠をおさえるからです。
調査対象となる配偶者や不倫相手とはぐれてしまうこともありますし、対象者が警戒している場合はなかなか尻尾を出さず証拠がうまくとれないことがあります。
そうすると証拠を掴むまでに時間がかかるのが通例で、それまでの人件費が高額となってしまうのです。
なお、この調査費用は、最終的に不倫した配偶者や相手方に請求できる可能性があります。
しかし、必ず全額請求出来るわけではないので、自費での調査費用を抑えるためにも、事前の準備が重要です。
相手方に対する調査費用の請求については、下記コラムで詳細に説明しています。気になる方は読んでみてください。

[参考記事]
探偵に依頼した浮気調査費用を相手に請求することは可能か?
依頼前の準備としては、まず自分で事前調査をすることをおすすめします。
例えば、浮気をしていると思われる配偶者が普段車で移動することが多いのであれば、車にGPS発信機などを取り付けたり、不自然にならない範囲で相手からうまく聞き出したりして、行動パターンを頭にいれます。配偶者が自室を所持している場合は盗聴器をこっそり仕掛けるなどして、よく電話をしている相手が居るかどうかも調べます。また、たとえば毎週水曜日に遅くなるのであれば、水曜日にどこでなにをしているのかなどをわかる範囲で調べます。
こうして下調べをすることで、配偶者が浮気をしているかもしれない時間帯や曜日、その他行動パターンがある程度読めるようになります。
この情報を依頼する探偵や興信所に渡し、ピンポイントで調査をかけてもらうことがもっとも効率的といえるでしょう。
(2) 探偵や興信所に調べてもらうこと
なにを準備するかは、何を調べてもらうかによるので、調査対象が何かも重要です。
探偵や興信所に調査してもらうのは、まず浮気相手の特定です。
具体的には、どこに住んでいて、職場はどこで、既婚なのか未婚なのか、本名は何かなどです。浮気をしている配偶者を尾行していると浮気相手に接触するはずなので、ここから浮気相手の人物特定をしてもらいます。こういった情報がないと、例えば有責配偶者と別れてほしい、または不倫慰謝料を支払ってほしいという場合に、内容証明を送ることもできません。
もうひとつは、有責配偶者と浮気相手との肉体関係、すなわち不貞の客観的な資料です。
たとえば、有責配偶者と浮気相手を尾行し、浮気相手の一人暮らしの自宅に入って一夜を過ごしていたり、ラブホテルに入って長時間出てこなかったりしたという場合は、自宅やホテルに入る時間と様子をビデオ撮影し、そのままそこで待機して2人が出てくるところまでビデオ撮影してもらいます。肉体関係は1回ではなく、2回3回おさえて、継続的な関係であることを証明できればベストです。
こうして調べてもらった情報を、報告書やDVDにしてもらい提出を受けます。
これで、探偵や興信所としてはミッション完了ということになります。
(3) 弁護士に頼む前の準備
基本的にですが、不倫の証拠がしっかりと揃っていればいるほど、弁護士との相談がより有意義で建設的なものになります。
自分で目星をつけられる範囲で、不倫の証拠をしっかり集め、極力不倫の確証が得られる段階を目指しましょう。
ここでの証拠は、相談をより有意義なものにするためのものですので、自分で出来る範囲でしっかりと準備を尽くせば大丈夫です。
ただ、「なんとなく不倫している気がする」程度では、弁護士としても「なぜ不倫していると言えるのか」が分からず、有効なアドバイスも出来ないので、無意味な相談になりかねません。
少なくとも、自分なりに「なぜ配偶者が不倫していると思うか」、不倫の根拠を示せるほどには整理しておきましょう。
その他、弁護士に相談するタイミングについて、下記コラムで詳細に説明しています。気になる方は読んでみてください。

[参考記事]
夫や妻の不倫を弁護士に相談するタイミングと準備
4.まとめ
- 「探偵」「興信所」に頼むのは不倫相手の特定と証拠集め
- 弁護士に頼むのは交渉
- どちらに頼むにしても、自分でしっかり事前準備した方が効率良い
いかがでしょうか。探偵や興信所と弁護士、それぞれの役割のイメージが掴めたかと思います。
繰り返しになりますが、不倫は男女関係のもつれであり、誰もが感情的になりやすいテーマです。余計なトラブルを避けるためにも、上手に専門家に頼って問題の解決を目指しましょう。
泉総合法律事務所では、不倫慰謝料問題に関する経験豊富な弁護士が、ご相談者様の立場に立って、しっかりとサポートをさせていただいております。
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