不倫(不貞行為)

不倫相手に手切れ金を支払う場合の注意点

不倫を終わらせると決意をしたところ、不倫相手から「手切れ金」を要求されてしまうケースがあります。
支払う義務があるのかどうかは勿論、支払うにしてもいくら払えば良いのか、疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。

今回は、不倫の手切れ金について、支払義務・今後のトラブル回避のポイント・金額の相場などを解説します。

1.不倫の手切れ金について

(1) 手切れ金とは?

不倫の手切れ金とは、不倫を解消する目的で支払われるお金のことです。

不倫関係の場合、両者の合意があればその関係はお互いが納得する場合に限り続きますが、どちらかが関係を解消したいと考えた時点で2人の関係性は変わってしまいます。

どちらかは解消したいと思っていても、他方はそうは思っていない場合、気持ちに相違が生じるため、これを解決する目的で「別れる代わりに手切れ金を支払う」ということがあります。

また、別れるために支払う意味もあれば、不倫を口外しないように守秘義務を兼ねて手切れ金を支払うというケースもあります。

不倫解消という効果がありますが、その条件にはそれぞれの不倫カップルが必要とする内容を盛り込むことも可能なのです。

不倫の手切れ金を支払う側としては、相手に要求されたから支払うというケースもありますが、自ら相手に理解してもらうために支払う、今後浮気を会社や家族にバラされないように支払うなど、支払者側から率先して提案することもあります。

このように、不倫の手切れ金は不倫解消を目的とする和解金のことです。
支払う側、受け取る側どちらから提案してもよく、特別な決まりもないのが実態です。

(2) 不倫の手切れ金は必ず支払うべき?

不倫解消を目的として手切れ金の支払いを要求された場合、支払いたくないと考えている場合には「必ず支払うべきものなのか?」という疑問が生じます。

結論からいって、請求されたから必ず支払うべきものとはいえません
というのも、不倫関係の解消には何ら法的責任が発生しないためです。

そもそも男女の関係において関係を解消する際にお金が発生する可能性があるのは、法的な婚姻関係があるか、事実上の婚姻関係があるか、婚約関係にある場合のみです。単なる恋愛や不倫関係の場合は、交際を解消してもなんら法的責任は発生しません。

そのため、不倫相手に交際関係の解消に手切れ金を要求されても基本的には支払う必要はありません。

ではなぜ多くの人が支払うのか、というと、やはり家族や職場にバラされたくないからです。

配偶者に不倫がバレてしまうと配偶者から慰謝料請求を受ける可能性も高く、離婚の可能性もあります。職場にバレれば職場での信用を失い、異動などを命じられるかもしれません。

これを防ぐために、穏便に解決する手段として手切れ金を支払うのです。

2.不倫の手切れ金を払う際に知っておくべきポイント

不倫の手切れ金を支払う場合には、いくつか知っておくべきポイントがあります。
後からトラブルにならないようにするために、以下を確認しておいてください。

(1) 条件、内容を書面に残すこと

手切れ金を要求されてその場で支払ったというケースもありますが、これはあまり好ましいケースではありません。
というのも、あとで追加の請求される、家族にバラすなど脅される可能性があるためです。

手切れ金を支払うことに合意する場合は、条件、内容をきちんと書面に残しましょう

内容としては、手切れ金として支払う具体的な金額、支払日、などをきちんと記載し、解決金を支払うことで不倫関係に関する債権・債務関係は一切なくなることも記載しておくべきです。両者のサインや印も必要です。

また。これらの書面を作るときは、納得できない金額で合意しないようにしてください。

あまりに過大な支払いを要求された場合には、弁護士に相談するなど専門家の意見をもらうようにしましょう。

(2) 守秘義務の内容を盛り込むこと

手切れ金を払う主な目的は、不倫関係の解消です。しかし、これ以外にも理由はあるはずです。

相手に対する誠意を示したいという気持ちもあるかもしれませんが、家族や職場にバラされないようにするためという意味もあるでしょう。

バラされたくないと思っているのなら、これを口頭で約束するのではなく文書にも示すべきです。和解書(誓約書)の内容には守秘義務の内容も盛り込みましょう。

後悔しない不倫の誓約書(示談書・合意書)を作成する際のポイント

[参考記事]

不倫の誓約書(示談書・合意書)の例文・テンプレート

(3) 原則として一括払い

手切れ金は一括で支払うのが原則です。
仮に支払えない場合には分割で支払う合意をすることもできますが、この場合、その期間は債権者・債務者としての関係が続くことになります。

手切れ金を支払う時期は、一般的に示談書を取り交わすときです。示談書を取り交わすより前に支払うことはできるだけ避けてください。
条件の合意に至る前に支払ってしまうと、追加の支払いを要求される可能性があるためです。

(4) 手切れ金を払ったのに再度要求されたら

「手切れ金を払ったのに再度要求された」
「今後接触しないという条件でお金を支払ったのに、連絡してきた」

こういったケースでは、穏便に解決するためにも弁護士に相談してください。

相手が再度接触を試みてきた場合は、「二度と連絡しない」という誓約書などを作ることが考えられます。

また、そのような条件ですでに合意している場合は、こちらから契約違反として損害賠償を請求することも検討できます。

なお、支払えない金額を要求された場合でも同様です。間に専門家が入り、交渉を進める方がトラブルを少なくできます。

3.手切れ金の相場

手切れ金は、裁判において請求することがないため裁判例がありません。そのため、相場を知るのが難しい種類の和解金となります。
法律上の根拠がないため、あくまで両者が納得できる金額が相場となります。

実際の交渉でまとまった金額などでは、数十万円から100万円前後が多いようです。交渉をする際もこのラインで話を進めていけば良いでしょう。

ただし、支払い者側の収入が高く、地位も高いという場合には別途配慮が必要です。この場合は、300万円などの高額な支払いをするケースもあります。

金額に迷った場合には、やはり専門家である弁護士に相談しアドバイスを求めるのが有効です。

なお、手切れ金についてお金ではなく、土地やマンションの権利などを要求されることもあります。
これらは数千万円以上するようなかなり高額な要求ですので注意が必要です。

特に問題ない、合意できるという方は良いのですが、一般的にはあまりに高額な手切れ金を要求された場合は拒否すべきです。

このようなケースでは、相手が有利に立っており、「配偶者にバラす」など脅して高額な手切れ金を要求しているケースが目立ちます。これは明らかに脅迫罪や恐喝罪にあたる違法な行為であり、応じてはいけません。

また、高額な支払いをすると家族にもバレやすくなることを忘れてはいけません。脅されたらすぐに弁護士にご相談ください。

4.不倫に関する法律問題は弁護士に相談を

不倫の手切れ金は必ずしも支払うべき責任のあるものではありません。あくまで不倫に関わった両当事者が不倫解消を穏便に実行するために支払われるものです。

条件の合意で揉めている、金額が不相当に高い、バラすと脅された、支払いを早くするように要求されている場合などは、早めに対処する必要があります。

お互いが円満に関係を解消するために、手切れ金は有効です。しかし、誤った内容で合意してしまうと後でトラブルになり兼ねませんので、ぜひ専門家である弁護士にご相談ください。

泉総合法律事務所では、不倫関係にあった方同士の手切れ金についてのご相談はお受けしておりませんが、「配偶者に不倫をされたので慰謝料を請求したい」「不倫相手の配偶者から慰謝料請求されてしまった」といった不倫トラブルに関する案件を数多く承っております。

不倫をされて慰謝料を請求したい方、不倫をしてしまい慰謝料を請求されている方につきましては、豊富な経験から最適な解決策をご提案いたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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