不倫(不貞行為)

後悔しない不倫の誓約書(示談書・合意書)を作成する際のポイント

後悔しない不倫の誓約書(示談書・合意書)を作成する際のポイント

夫とA子との不倫が発覚!夫もA子も不倫を認め、関係を解消してA子が妻に対して慰謝料200万円を支払う約束をしました。
このような約束がなされたことを明らかにするため、妻とA子との間で誓約書を作成することになりました。どのようなことを記載すればよいでしょうか?

 

以下では、不倫慰謝料の誓約書に記載する内容や注意点などについてご説明します。

1.誓約書とは

A子と妻は、A子が妻に対して不倫についての慰謝料として200万円を支払う約束をしました。この約束により、A子は、法律上、妻に対して200万円を支払う義務を負うことになります。

「法律上、200万円を支払う義務を負う」ということはどういうことかというと、A子が約束通り200万円を支払わなかったため、妻がA子に対して裁判を起こし、200万円を請求した場合、原則として、A子は「200万円を支払う義務はない」と争うことはできず、裁判所は妻の言い分を認め、妻が勝訴するということです。

このように、A子と妻の約束は、口頭でも成立するのですが、妻としては、A子に「そんな約束はしていない」などと主張されたときの証拠として、約束を書面で残しておく必要があります。

そのような約束を記載した書面を誓約書といいます。書面の名称は、誓約書に限られません。示談書、合意書、和解契約書等の名称で呼ばれることもあります。

2.誓約書に記載する内容

では、誓約書に、A子が妻に対して200万円を支払う約束を記載するのは必要不可欠だとして、その他にどのようなことを記載しなければならないでしょうか?

一般的には、以下の事項を記載することが考えられます。

  1. 不倫の内容及び謝罪
  2. 慰謝料の支払いに関する条項
  3. 求償権の放棄条項
  4. 接触禁止条項
  5. 口外禁止条項
  6. 違約条項
  7. 精算条項

(1) 不倫の内容及び謝罪

例えば、「A子は、平成XX年X月から平成XX年X月までの間、甲(妻)の夫と反復継続的な不貞行為に及び、夫婦の平穏を侵害し、甲(妻)に対して精神的苦痛を与えたことを認め、謝罪する。」といった記載が考えられます。

これを記載する意味は、特に、夫とA子が関係を解消することを約束したにもかかわらず、この約束に反して関係を解消しなかったことが発覚し、妻が夫やA子に対する慰謝料を請求する際、妻にとって有力な証拠とすることにあります。

注意点としては、「不貞行為」と明記することです。実は、法律用語に「不倫」という言葉はありません。「不倫」を法律用語で表すのであれば「不貞行為」となります。

裁判所は、「配偶者のある者が、自由な意思に基づいて配偶者以外の異性と性的関係をもつこと」を「不貞行為」と定義しています。そのため、A子には、夫との間に性的関係まであったことを認めさせ、誓約書に「不貞行為」と明記する必要があるのです。

また、可能であれば、不貞行為の期間、回数を明記したいところです。これも、夫とA子が妻との約束に違反して関係を解消しなかったことが発覚し、夫やA子に対する慰謝料を請求する際に意味を持ちます。

慰謝料の金額は、不貞行為の期間が長ければ長いほど、回数が多ければ多いほど増額される傾向にあるので、これを記載しておけば裁判で証明する必要がなくなります。

(2) 慰謝料の支払いに関する条項

A子が妻に対して200万円を支払う義務があることと、その支払期限を明記しなければなりません。

A子が明記した支払期限を過ぎても支払わない場合、誓約書に明記しなくても、民法上、年5%の割合の遅延損害金を請求することができます。それ以上の割合の遅延損害金を請求する場合には、誓約書に明記することが必要です。

A子に支払期日までの支払いを促すため、年5%を超える割合の遅延損害金を支払う内容の合意を記載することも有効でしょう。

なお、この場合、利息制限法により、21.9%の割合を超える遅延損害金を支払う合意をしても無効となります。

(3) 求償権の放棄条項

不貞行為は、夫とA子の二人によってなされたものですから、本来、A子だけでなく、夫も妻に対して慰謝料を支払わなければなりません。

したがって、A子が妻に対して200万円を支払った場合、A子は夫に対して、200万円の一部を支払うよう求めることができます。この権利を「求償権」といいます。A子が夫に対して支払いを求めることができる金額は、不貞行為において、夫とA子どちらが主導的立場であったかなどによって決められます。

妻が夫と離婚する場合、あまり夫のお財布事情を気にする必要はないかもしれませんが、離婚しない場合、妻がA子から200万円の支払いを受けたとしても、夫がA子に対して例えば100万円を支払わなければならないとすると、結局、妻が得られたのは100万円ということになってしまいます。

そうすると、A子が妻に対して200万円を支払うと約束した意味がなくなってしまうことから、「A子は、夫に対する求償権を放棄する。」という文言を入れることがあります。

もっとも、本来、A子が求償権を放棄する相手は、妻ではなく夫ですから、妻とA子の二者間で締結する誓約書においては、このような条項は、法的には意味がなく、事実上の抑止力にとどまります。
(法的には意味がないとは、A子が夫に対して求償権を行使し、100万円を請求するのを妨げられないということです。)

法的に意味をもたせるには、後ほどご説明するとおり、夫も当事者に加えて三者で誓約書を取り交わす必要があります。

(4) 接触禁止条項

例えば、「A子は、甲(妻)の夫との不貞関係を完全に解消し、いかなる理由があっても連絡(面会、電話、電子メール、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)、第三者を介した連絡等の一切を含む。)、接触してはならない。」といった記載が考えられます。

裁判所は、関係を解消するとの約束に違反したことを慰謝料の増額事由とする傾向にあるので、このような約束をしたことを証拠で残すことは極めて重要です。

(5) 口外禁止条項

例えば、「甲(妻)及びA子は、本件に関し、インターネットへの書き込み・書面掲載・口頭による情報の流布・架電・電子メールその他方法の如何を問わず、本件に関する情報を第三者に対し公開しないことを約する。」といった記載が考えられます。

このような記載をすることは、妻側よりも、A子側から求められることの方が多いかもしれません。

(6) 違約条項

例えば、「A子が、本誓約書の定めのいずれかに違反した場合は、違約金として金50万円を甲(妻)へ支払わなければならない。」といった記載が考えられます。

民法には、人が社会生活を営むに際し結ぶ契約は、当事者が自由に締結できるという「契約自由の原則」があります。もっとも、例外的に、公の秩序や強行法規に反する契約は無効とされています。

公の秩序に反する場合というのは、簡単に言えば、一般的な感覚で常識外れと感じる場合であり、このような契約は公序良俗に反して無効になります。

例えば、「A子が、本誓約書の定めのいずれかに違反した場合は、違約金として金一億円を甲(妻)へ支払わなければならない。」という違約条項はどうでしょうか。A子と夫が再び連絡を取り合った場合に1億円を支払うというのは、常識に外れていえます。

妻側としては、違約金について、できるだけ高くしたいと考えるところではあると思います。他方で、あまりにも高額な違約金を定めると、その条項自体無効となってしまうのです。

したがって、常識の範囲内で違約金を定める必要があります。

(7) 精算条項

精算条項とは、誓約書を締結する当事者間において、誓約書に記載された請求権以外の一切の請求権がないことを確認する文言をいいます。

具体的には、「甲(妻)とA子との間には、本件に関し、本誓約書に定めるもののほか何らの債権債務のないことを相互に確認する。」といった文言を記載します。

このような清算条項の記載があれば、誓約書で取り決めた請求以外の請求ができないことになります。

もっとも、あくまで誓約書が作成された時点で発生していた請求権を行使できなくなるというだけであって、誓約書が作成された後に請求権が発生した場合は、これを行使することができます。

したがって、例えば、夫とA子との間の不貞行為を暴くために調査会社に調査を依頼した場合、夫とA子に対して調査費用を請求しうるとされていますが、誓約書に慰謝料の支払いしか定めていなかった場合、精算条項があると、後から調査費用を請求することはできません。

他方で、誓約書を作成した後で、夫とA子が妻との約束に違反して関係を解消しなかったことが発覚した場合、慰謝料を請求することが可能です。

A子としてはこの条項こそが重要なので、避けては通れない事項です。

3.夫も含め三者で誓約書を締結する場合

これまで、妻とA子との間で誓約書を締結する場合についてご説明しましたが、実際には、妻・夫・A子の三者で合意を締結する方がよいと思われます。

なぜなら、先ほどご説明した求償権の放棄について、法的に意味をもたせることができるからです。

その場合、誓約書に記載する内容は、妻とA子との間で誓約書を締結する場合とほぼ同じです。妻として夫に対して誓約してほしいことがあるのであれば、それについては妻と夫との間で誓約書を取り交わしても良いです。

もっとも、この場合も、一般的な感覚で常識外れと感じる合意は無効とされていることに注意が必要です。

4.まとめ

以上、誓約書の記載内容、注意点についてご説明しました。

今回ご紹介したものは、あくまで一般的なものにとどまっています。例えば、不貞行為の当事者双方に配偶者がいれば、4者で誓約書を取り交わす必要があり、その場合の記載内容は異なってきます。

また、夫婦が離婚しない場合と離婚する場合とでも、記載内容は異なってきます。

漏れのない誓約書を個人が作成するのは非常に難しいことですから、不倫の誓約書や示談書の作成を考えている方は、ぜひとも弁護士に依頼することをお勧めします。

不倫慰謝料でお悩みの方は、是非一度、解決実績豊富な泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

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