不倫(不貞行為)

不倫は犯罪ではない?不倫と法律の関係について

不倫は犯罪ではない?不倫と法律の関係について

「不倫はいけないこと」というのが多くの方の共通認識です。
ただ、まれに「不倫は犯罪です」という発言を聞くことがあります。しかし、これは間違いです。現在のわが国の法制度においては、不倫は犯罪ではありません

では不倫に関し、法律はどういう定めをしているのか。配偶者の不倫が発覚した場合、何ができるのか。裁判所はどのような判断をするのか。

今回は、このあたりを説明したいと思います。

1.不倫は犯罪ではない

そもそも犯罪とは、刑法学的には「構成要件に該当し違法かつ有責な行為」を言い、刑罰の対象となる行為を指します。不倫は、刑法などの法律で刑罰の定めがない行為なので、犯罪ではありません。

なお、かつての日本では「姦通罪」という罪があり、夫のある女性が不倫した場合、刑罰が科されていました。しかし、第二次世界大戦後に施行された日本国憲法に男女平等が定められ(第14条)、女性だけに刑罰が科されるのはこれに反するとして、1947年10月26日の刑法改正によって、刑事罰としての姦通罪は廃止されました。

2.不倫と法律の規定

では不倫については法律上どのような規定があるのでしょうか。

ここで登場するのが民法です。民法とは、私人(市民)相互間の権利義務関係(法律関係)を規律する法です。

(1) 民法に基づく損害賠償請求

民法第709条は、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と規定しています。この「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害する行為」は、「不法行為」と呼ばれています。

そして、裁判所は、夫婦それぞれが「婚姻共同生活の維持という権利又は法的保護に値する権利」を有していることを認めており、不倫によってこれを侵害することは、不法行為に当たり、侵害した者に対して損害賠償請求をすることを認めています。

したがって、不倫された配偶者は「婚姻共同生活の維持という権利又は法的保護に値する権利」を侵害されたとして、不倫した配偶者と不倫相手に対し、民法第709条に基づき損害賠償請求をすることができるのです。

(2) 損害賠償請求できる場合

これまで、分かりやすいように「不倫」という言葉を使ってきましたが、実は「不倫」は法律用語ではありません。

「不倫」を法律用語で表すのであれば、「不貞行為」となります。

「不貞行為」とは、裁判所によって「配偶者のある者が、自由な意思に基づいて配偶者以外の異性と性的関係をもつこと」と定義されています。

不倫に関して言うと、裁判所は原則として不貞行為を不法行為と考えています。
性的関係があったことまで証明しなければ、民法第709条に基づき損害賠償請求をすることができません。

3.何が請求できるか?

では、性的関係をもったことまで証明できたとして、何が請求できるのでしょうか。

ここでは、よく相談にあがるもの、特に金銭的な請求に絞って紹介します。

(1) 慰謝料

請求のメインとなるものは慰謝料でしょう。

民法第710条は「その損害とは財産的損害に限られない」と規定しています。そのため、妻が負った精神上の苦痛を慰謝するものとして、慰謝料の支払いを請求することができます。

一般的に、慰謝料の相場は、50~300万円程度ともいわれていますが、精神上の苦痛は、本来、金銭に換算できない性質のものですから、慰謝料額の算定についての絶対的な基準はありません。

そこで、従前の裁判例では、裁判所が諸般の具体的事情を斟酌して算定してきました。
諸般の具体的事情としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 夫婦の身分関係(年齢、婚姻期間、子の年齢及び養育状況、学歴、職業・地位、収入、資産の有無)
  • 不貞関係が始まった時点での夫婦関係(円満であったかどうか、同居か別居か)
  • 不貞関係が始まった経緯、不貞関係の内容(期間・回数、妊娠したか、認知したか)
  • 不貞関係によって夫婦及び子に与えた影響(離婚したか、離婚原因が不貞行為以外にもあるか)
  • 不貞相手の身分関係(年齢、配偶者・子の有無、学歴、職業・地位、収入、資産の有無)

これらの事情が慰謝料算定の判断資料となるとしても、それが増額事由なのか減額事由なのか、個々の判断要素としての軽重の程度等も事案によって異なっています。

どの事情を主張することが慰謝料を請求する上で有利になるかは、判断が非常に難しいです。
弁護士に依頼した上で、適切な請求をしてもらうことをお勧めします。

(2) 調査費用

たとえば不倫相手との性的関係を突き止めるために探偵や興信所の調査会社を使った場合、これにかかった調査費用を請求することができるのでしょうか。

これに関しては、二つの判例を紹介します。

【請求を認めた例】
「原告が●●(調査会社)に支払った16万9290円の調査費用について検討するに、この調査がなければ被告による不貞行為を立証することは事実上不可能であったと認められるし、その額も相当であるから、相当因果関係を認めるのが相当である」
(東京地方裁判所平成22年7月28日判決)

 

【請求を認めなかった例】
「被告は、当初から、本件調査の範囲外の時期における不貞行為の事実を認めており、本件調査が本件訴訟の立証に寄与した程度は低いものといわざるを得ないことを考慮すれば、原告が負担した上記調査費用(100万円)は、被告の不法行為と相当因果関係のある損害として認めることはできない」

(東京地方裁判所平成22年2月23日判決)

このように、調査費用は、不貞行為の立証に必要であったか否か等により請求できるかどうかが決まり、仮に請求できるとしても、相当な額に制限される傾向にあります。

(3) 治療費等

さらに、配偶者の不貞行為によって心身に異常をきたして通院した場合などに、治療費等を請求することはできるのでしょうか。

これに関してはケースバイケースです。適切な主張立証ができれば請求が認められる余地がありますので、それを実現するためにも、弁護士への依頼をお勧めします。

(4) 弁護士費用

弁護士に対する質問として多いのが「弁護士費用全額を相手に請求することはできるのか?」ということです。

裁判所は、本件のように不法行為に基づく損害賠償請求をするときは、弁護士費用を請求することができるとしています。もっとも、その金額は、現実に支払われた弁護士費用ではなく、原則として、裁判所が認めた損害額の1割とされています。

つまり、妻が、夫とA子を訴え、裁判所によって、慰謝料、治療費等を合わせて300万円が認められたとすれば、その1割である30万円が弁護士費用として認められることになります。そのため、必ず全額を回収できるわけではありません。

3.不倫は離婚原因にもなる

慰謝料等の金銭的な請求のほかに、不貞行為は民法上「離婚原因」とされています(民法770条1項1号)。そのため、不貞行為があったことを理由として、離婚を求める裁判を起こすことが出来ます。

なお、このとき不貞行為を行った側、つまり離婚原因を作った側は「有責配偶者」とされ、有責配偶者からの離婚請求は原則的に認められていません。

4.まとめ

・不倫は犯罪ではないが、不法行為にあたる
・不貞行為があると、慰謝料などの損害賠償請求が認められる
・不貞行為は離婚の原因となる

不倫は犯罪ではありませんが、不倫に関して法律は様々な規定を置いています。
刑罰などを科されるわけではないですが、慰謝料請求等をすることにより、不倫の当事者に対する「許せない」という気持ちを幾分晴らすことも出来ます。

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