不倫(不貞行為)

別居中の交際・不貞行為(不倫)は慰謝料請求される?

「結婚して5年、夫婦仲が徐々に悪くなり、関係修復のために一度別居することを決断。でも、別居中に不倫をしてしまった……」
このように、関係修復を図るために別居をしたものの、その間に不倫を犯してしまうことはよくあるようです。

たった一度の間違いだった場合でも、不貞行為は相手にとっては重大なことです。慰謝料を請求されることも覚悟しなければいけません。

しかし、「別居中だと慰謝料は請求できないのでは?」「離婚前提の別居だった場合は許されないの?」という疑問もあるでしょう。

今回は、別居中の不倫で、どのような場合に不倫慰謝料を請求されてしまうのかについて解説します。

1.不倫慰謝料請求が可能となる条件

不倫慰謝料は、不法行為に基づく損害賠償(民法709条)として請求することになります。

婚姻期間中は配偶者以外の異性と性的関係を持つことは許されず、仮に不倫行為があれば離婚原因にもつながります(民法770条1項1号)。

この不倫慰謝料請求ですが、基本的には2つの事実の立証が重要と考えられています。

(1) 不貞行為があること

1つめは、不貞行為があったことです。
不貞行為とは、婚姻中に配偶者以外の相手と性的関係を持つことを差します。

異性とのデート、食事、手をつなぐなどの行為も不倫・浮気の一種であると考える方がいらっしゃいますが、これらは法律上不貞行為と認められません。

不貞行為を立証するためには、肉体関係が推認できるような証拠が必要です。
性行為そのものが記録されている写真や動画などがあればベストですが、そのような直接的な証拠がない場合は、ラブホテルに入る前後の写真、性的行為を連想させるようなやりとり、ホテルや食事の場所でのレシートなどを組み合わせることが有効です。

別居中の不倫なら、別宅に不倫相手が行き来する写真・同棲に当たる事情などがあれば不貞行為が認められる可能性があるでしょう。

(2) 婚姻関係の破綻

2つめに必要なのは、「不貞行為によって婚姻関係の破綻があった」といえることです。

実際に不貞行為が行われており、それが立証できたとしても、不貞行為から守るべき婚姻共同生活の実体がなければ損害は発生しないと考えられます。

そのため、不倫慰謝料請求では、不倫が原因で夫婦関係・婚姻関係が壊れた、損なわれたといえなければいけません。

具体的には、不倫発覚後に離婚した・別居したなどが、婚姻関係破綻の事情として考えられています。

逆に、不貞行為があったとしても、その前から夫婦仲が悪かった、別居していたなどの事情があれば、不倫による婚姻関係の破綻はなかったと認められてしまうケースもあります。

実際、不倫していた当事者が「不貞行為はあったが、その当時はすでに婚姻関係が破綻していた」と反論するケースは多くあります。

2.別居中の不倫でも不倫慰謝料請求が可能な場合も

では次に、別居中の不倫について解説します。
慰謝料請求が認められる別居中の不貞行為とはどのようなものなのでしょうか。

別居中に配偶者以外の異性と交際したり、性的関係を持ってしまったりした事実がある場合、それが「不倫」と言えるのか気になるところです。

よくある質問ですが、別居中であったとしても、婚姻中に他の異性と性的関係をもてば、それは不貞行為となります。
しかし、必ず慰謝料請求が認められるかというと、そうではありません。

先にご説明した通り、「不貞行為による婚姻関係の破綻」がなければ、不倫慰謝料請求は認容されないためです。

つまり、婚姻関係が不貞行為よりも先に破綻していた事実があれば、不倫慰謝料は支払わなくて良いことになります。

実務では、別居の理由や婚姻期間と対比しての別居年数などを合わせて考慮し、婚姻関係がすでに破綻していたといえるかどうかを判断します。

3.婚姻関係破綻にあたる別居とあたらない別居とは

以上から、別居中の交際でも不貞行為に該当します。
しかし、請求できるかどうかは「婚姻関係の破綻が既にあったかどうか」によって変わります。

では、婚姻関係破綻にあたる別居とあたらない別居の違いはどこにあるのでしょうか?

実際には、以下のような事例があります。

《婚姻関係破綻にあたる別居の事情》
・離婚を前提とした別居
・離婚調停を申し立てた事実がある場合
・5年以上の別居

《婚姻関係破綻にあたらない別居の事情》
・出張中の別居
・夫婦関係をやり直すための別居
・家族として交流がある別居
・一方的な別居
・別居の年数が3年未満

婚姻関係破綻にあたる別居としては、夫婦仲の改善が見込めない事情や、別居期間の長さが考慮されています。

基本的には、すでに離婚協議に入っている場合は、破綻の事情として判断されます。
また、そのような事情がなくとも、離婚期間が10年など長期に及ぶ場合で、夫婦としての実質がない場合には、婚姻関係の破綻が認められるといえます。

他方、婚姻関係の破綻といえない別居としては、夫婦関係修復のための別居が代表例です。

夫婦関係の改善が見込める段階での別居は、依然守るべき婚姻関係があると考えられています。
そのため、一方的な別居や家族で食事などを行っている事情があれば、婚姻関係の破綻は認められません。

また、婚姻関係の僅かな悪化があっても、別居の年数が2年などの短い場合には、破綻が認められないこともあります。

【婚姻関係破綻に関する判例】

  • 東京高裁平成25年4月25日
    婚姻破綻認めず2年の別居、夫の女性関係(不貞行為はなし)の問題、妻の親族に対する暴力の問題を主張したが、修復可能とした。離婚請求棄却判決。
  • 東京地方裁判所平成23年6月30日判決
    婚姻破綻を認める5年の別居生活で婚姻破綻を認め、妻から夫の不貞相手への慰謝料請求を棄却。
  • 東京地方裁判所平成20年12月26日判決
    婚姻破綻認めず里帰り出産で実家に帰省。帰省中に夫による不貞行為があったが、婚姻破綻を認めないと判決。
  • 東京地方裁判所平成21年6月4日判決
    婚姻破綻認めず夫婦関係の悪化は認め別居に至ったことは認めたものの、冷却期間を置くための別居であったため、婚姻関係の破綻ではないと判断。

4.別居中の不倫慰謝料相場

最後に、別居中の不倫慰謝料の相場と慰謝料請求への対処法をご説明します。
別居中の不倫の場合、どれくらいの慰謝料が請求されるのでしょうか。

実際のところ、別居中の不倫慰謝料は、別居がない場合の不倫慰謝料より減額される可能性が高くなります。

というのも、不倫慰謝料の額を決めるにあたっては、婚姻期間、別居期間・理由、子どもの有無、不倫期間・回数、経済的事情、夫婦仲などさまざまな事情が考慮されますが、別居の理由に夫婦の不仲が認められる場合には、減額される事情として働くためです。また、別居を決断したという事実も、減額の事情に働きます。

[参考記事]

不貞行為の慰謝料相場の判例を解説

もっとも、先ほどご紹介した事例のように、里帰り別居や単身赴任など、夫婦関係とは関係ない事情が別居理由の場合は、慰謝料減額事情とはなりません。

以上から、相場としては50万円〜200万円程度といえるでしょう。

別居より以前に夫婦関係の悪化があった場合には50〜100万円程度、不倫相手と同棲している、妊娠した、などの事情があれば100〜200万円程度と考えられます。

5.別居中の不倫で慰謝料請求されたら弁護士に相談を

別居中に不倫をしてしまい、配偶者から慰謝料請求を受けたという場合は、まずは内容と金額を確認しましょう。

相手が怒りに任せて請求してきている場合は、金額が適正額より過大なことも多くなっています。そのため、冷静に話し合いを進めていくのが重要です。

支払えない・高額すぎると考える場合は、減額交渉をすることになります。

[参考記事]

慰謝料が払えない!?高額な不倫慰謝料を請求されたときのポイント

別居中の不倫は、それぞれの夫婦個別の事情があります。損害賠償の適正金額は個別の事情を聞いてみないと判断できないことも多いのが実情です。

ご自身のケースで適正額を知りたい場合は、弁護士にご相談いただくのが一番です。

弁護士に交渉を任せれば、相場よりも高額な慰謝料で決着がつくことを回避できます。
慰謝料減額だけでなく、別居前に婚姻関係が破綻していれば、支払い自体をしなくて済むこともあります。

夫婦それぞれにとってベストな選択をするためにも、専門家である弁護士にお任せいただくことをおすすめします。

別居中の不倫で慰謝料請求を受けた場合は、不倫慰謝料に関して多くの実績がある泉総合法律事務所までご相談ください。

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